懸念していたこと

 W-ZERO3が発売して約1週間…、発売前から懸念していた事態が起こっている。




オークションを覗くと、即解約品のW-ZERO3が結構高値で売買されている。キャリアが絡まないPDAならば、「自分に合わないから」と即売却しても何ら問題はない。しかしW-ZERO3は携帯電話同様キャリアのインセンティブが絡む以上、微妙である。もちろん携帯電話でも新規→即解約→売却or機種変更という行為は一部で行われているが、まあ端末価格があまり高くない&1機種に人気が異常に偏るようなことがない為、さほど問題ではない。
 W-ZERO3の場合は、PDA的な感覚で購入しても通信キャリアとの間で年間契約などの縛りがある。大半が購入時の価格の関係で加入していることがほとんどなので、解約するに当たっては年間契約の解除料がかかる。が、現状ではそれ以上の高値で白ROM端末が取引されているので、十分取り戻せるという算段だ。これは一ユーザーレベルで見ると問題ないし、権利を主張するならばおかしくはない行為だと思う。ただ代理店単位やキャリア単位で見れば問題が大いにある。


 たとえば代理店はW-ZERO3もほかの携帯電話同様に販売インセンティブというものがある。それがあるからこそあの価格で販売できる、というのは日本の携帯事情ではもう十分周知のシステムだ。しかしPDA的な感覚で回線契約&購入し、「合わない」からといって即解約されたのでは、代理店はたまったものではない。新規契約直後の短期解約に対しては、インセンティブの取り戻し、いわゆるペナルティが発生する。人気があるからと言って通常通りに販売しても、通常の携帯電話のように最低半年(ペナルティが発生する期間)を越えるまで使ってもらえないのならば、大きな赤字である。量販店含む販売店は、W-ZERO3を含む、今後発売されるいわゆるスマートフォンは「売ってもあまりメリットがない」と判断されかねない。つまり販路が縮小する可能性も考えられなくはない。直販やってるWILLCOMインセンティブ払わない直販サイトで売ればいいだけの話だけど、やはり日本はまだまだ量販など販売店を軽んじてはいけない市場だと思う。
 さらにキャリア視点で見れば、こういう状態が続けば端末価格を上げざるをえない。W-ZERO3のSIMなし価格は45,000円だが、どう考えても端末卸し+利益分がこんな価格で出せるとは思えない。通常のPDAに比べて、製造台数は多いので、いくらかのコストダウンはできていたとしても安すぎる。今のWILLCOMはフットワークが軽く、ユーザビリティの高いサービスを打ち出し、熱いキャリアへと変化を遂げたものの、なにぶん利益が出ていない。音声定額を始めて以降、純増は増えているものの、ARPUによる利益はほんの少しずつしか増えていない。ぶっちゃけあまり儲かっていない。そして広告にもかなり金を使っている。W-ZERO3は話題性+普及に向けての先行投資とひいき目に見てもちょっとサービスしすぎのような気がする。
 他キャリアに対して、スマートフォン市場の起爆剤として立候補しているのなら素晴らしいのだけれど、株主がカーライルだけに変な勘ぐりをしてしまうのは自分だけか?火をつけて盛り上げるだけ盛り上げて、売却されてもなぁ…と。
まあWILLCOMADSL普及期におけるソフトバンクみたいなポジションなのは間違いない。来年・再来年には携帯キャリアも増えるわけだし、W-ZERO3のヒットがどういう風に影響するのか非常に気になるところ。というか早く手に入れたい(結局それか


とりあえず、現在は品薄で手に入りづらかったり、高値で売買されていたりしていますけど、1ヶ月ほど経つと肌に合わない購入者による売却が増えてダブつくと思います。とてもじゃないけどこの販売台数のすべてが受け入れられるとは思えない。PDAユーザの視点から見れば、性能・価格面でもかなり完璧に近い端末ですが、携帯しか使っていないライトユーザにはまだまだ厳しい端末です。ただ今回は流通量も多く、ファンも多く、過去最高の応援がなされている未知数な端末ですよね。




あ、あとどうでもいいことですが、WILLCOMの契約審査は他キャリアよりも若干厳しいので、短期解約は少なからず目をつけられますよ(今後に響く)。狙ってやるのはあまり良くないかと。