偽りの0円

 最後の予想外としてソフトバンクモバイル孫正義社長が打ち出したのが“新規/機種変更にかかわらず、新スーパーボーナスへの加入者なら、端末の持ち帰りは全て0円”という施策。スーパーボーナスで端末購入時に必要だった割賦金額の頭金を0円にすると発表した。
 「すべての携帯機種が0円。おそらく日本の携帯電話業界が始まって以来初めて、おそらく世界でも初めて。私たちは高い携帯電話代を安くしたかった」──。頭金0円の施策を打ち出した背景について、孫氏はこう説明する。

 もうなんつーか全部自分の大嫌いなことばかりやってくれるなハゲよ。キャリアのインセンティブモデルを壊したかったと言っていたが、こっちのほうがよっぽど酷い。


かなり長文。


 まず携帯の0円販売というのはキャリアのインセンティブで成り立つもので、本来は卸価格が5万円程度する端末を0円で売る販売店に報奨金として支払う制度(その分短期解約などにはペナルティが課せられる)があるからこういうことができる。第一次携帯バブルのころはとにかく利用者を増やすために「0円で配る」という行為が当たり前だった。が、携帯の純新規加入者の数が飽和状態の今は、新規よりも機種変更の数のほうが圧倒的に多い。そこで今まで新規をさんざん0円で配っていたために機種変更価格とのギャップが生まれる。キャリアが自分の首を絞めているのだ。
 そろそろ0円販売を減らしていかないといけないと自分は思う。「ケータイは常にタダで買えるもの」と勘違いしている人はいまだに多い。


0円で販売というのは、ダメだと思う。


 たとえ月々の利用料金で回収できたとしても、商品そのものの価値は変わらないはずなのだ。だから機種変更や修理のときは、当然のようにその商品に対する価値分だけの支払いを求める。「ただでもらった携帯になんでそんなに払わないといけないのか」という勘違いを起こす人も少なくはないのだ。普通の人はインセンティブモデルなんてわかりませんからね。
だからある程度長く使って、機種変更なり修理なりの付き合いが発生するのならキャリアのためにも「ケータイ=0円」みたいなイメージは取り払わないといけないと思う。

「すべての携帯機種が0円。おそらく日本の携帯電話業界が始まって以来初めて、おそらく世界でも初めて。私たちは高い携帯電話代を安くしたかった」──。


 いや、0円ではないじゃないですか。きっちり月々の支払いに上乗せされて取られている。さらには解約や機種変更でもしようものなら、残りの端末代をまとめて請求される。0円じゃないよね全然。今までの0円ケータイというのは本当に端末代はかかっていなかったからよかったものの、今回の新スーパーボーナスで「0円!」と謳うのは広告としても明らかにおかしい。


 さらに携帯電話のリチウムイオン電池は、よっぽどのライトユーザーじゃない限り1〜2年でヘタってくる。それでも使い続けろと。今どきの使い方してたら電池は27ヶ月も持ちませんよ。それをわかっていて縛りつけながら販売する。半分詐欺ですよ。
携帯はADSLモデムのようにどんな外観でもいいわけじゃないし、滅多に壊れない商品でもない。ADSLでやったことが通じるとは限りませんよ。


けっきょくソフトバンクは価格ではなく、モノの価値を破壊しているとしか思えないし、今回の新プランなども本当に価格破壊やインセンティブモデルの変化を望んでやっているものではなく、加入者純減防止などのシェア操作の一時しのぎのためにやっているようにしか思えない。


果たしてYahoo!BBのようにSoftBank Mobileは定着していくのだろうか?


【追記】10/27

時間があったので某量販店の携帯売り場を覗いてみましたが、全てのプライスが「0円」という表記になっている売り場を見て、正直ゾッとしました。これを見て「おかしい、何かあるのでは?」と思わずに0円に釣られて買う消費者はよっぽどの馬鹿でしょうね。